2005年12月18日

最後の晩餐 12月13日分

住之江に面接に行く前にそれなりに悲壮な決意をもって家を出たのは事実で、手元にあるのは6000円ちょいの現金とイングヴェイのチケットだけ。来日公演が決まってすぐ手に入れたものだった。あの時は今こんな状態になっているとは想像しなかった。いや考えることを拒んでいただけかもしれない。もともと昔から現実逃避癖がある。

家を出るときチケットを持って出たのは、どうせ電車賃使うならなんばに寄っても大差ないということと、もうこれで最期かも知れないと思ったから。とても楽しめる気分ではなかったが、イングヴェイは今まで何があっても見に行っていた。広島へも、尼崎へも、大阪はもちろん。近畿で2回、3回公演があるときはレンチャンで行ったものだった。

これこそ最後の晩餐にふさわしいと思った。今日が人生最期の夜になるのかも。

4時過ぎにはなんばhatchに着いた。開場まで2時間、開演までは3時間もある。
どこかで時間をつぶさないといけないのはあらかじめわかっていたが、なにせ金がないし、外は異常に寒い。寒波周恩来だ。

とりあえずなんばhatchの中で時間をつぶすことに。以前インターネットで申し込んだ後、手続きが中途になっていた街金のエイワに電話してみた。何度かやり取りのため”電話をきってはかかってくるのをまって”を3度ほど繰り返し結局答えはNO。予想していたとはいえもしものことがあれば生き残れるかもと思っていただけにいささかショック。ここでダメならほかはムリといわれる最後の砦のエイワでダメなんだから。自己破産経験のある当時60過ぎた年金生活のうちの母にさえ融資していた会社だからねぇ。母の行方は言えません。と言ったら簡単に引き下がってそれ以降何も言ってこないし。

その後まだ時間があるので駅の方に行き無料の求人誌を探した。少々寒かったが改札付近で立ち読みして時間をつぶした。

やっと開場時間となり再びなんばhatchへ。もうかなりの列が出来ていた。そこで入場にはドリンク代が別途500円必様な事を知らされる。と言うか思い出させられる。頭の中はムンクの叫び状態に。ただでさえ金ないのに。がちょーん。

入場してからふと思いついた。ひょっとして田舎にいる次兄も来てたりして。思い切って電話をかけてみる。コールしている。番号は変わっていないようだ。がすぐに切れた。やっぱりダメか。おれはドリンクチケットをハイネケンの小カンに換え、これが500円かよボッタクリだなと重いつつ飲み干した。すると電話の振動した。あわてて出ると兄だった。

電話番号を知らないはずなので
『もしもし(ぴー)ですけど』
『おう』
『今仕事中?忙しい?』
『ひょっとしてなんばhatchに来てんの?』

ビンゴーー〜〜〜〜〜
私は心の中で叫んだ。

『うん』
『そしたら後で会えたら会おうか』
『うん』

ちょっと引っかかる言い方だった。会えたらって兄弟の久々の対面なんやからムリしてでも会おうで、しかし。と思いながら電話をきった。

そしてライブがはじまった。
予想通りというか昔の曲がメインで最初から楽しめる内容ではあったが、一番盛り上がったのはアンコール後のヒロシマ・モナムールとアイル・シー・ザ・ライト・トゥナイトだった。特にヒロシマ・モナムールはライブで聴くのは初体験。アイ・アム・ア・ヴァイキング以来の喜びだった。以前広島に見に行った時はやると思ったがやらなかった。
しかしほかの曲ではバッキングしないで弾きまくってたに、ライブセンテンスであれだけ弾きまくって、ある時うるさすぎるとグラハム・ボネットにシールドジャックを抜かれたことがあると言う伝説のあるイングヴェイがちゃんとバッキングしてた。まあこの曲のうりはあのリフでもあるわけだし。スモーク・オン・ザ・ウォーターの影響を明らかに受けたソロでもあるわけだが。
もうこの頃には何もかも忘れて夢中になっていた。そして祭りはおわった。

開場からロビーに出てすぐにトイレに向かった。すぐに電話がかかってくくるだろうと信じていた。だが寒さとビールがたたって我慢できなかった。

でも電話はかかってこなかった。でもこちらからかける勇気もなく探し回った。
出口付近のトイレの前でようやく見つけた。オレを探してる様子だった。

『お兄ちゃん』
声が震えた。本当ならとてもあわせる顔がない立場だ。
『おう、どうしたん?』
『いや・・・。ひとりなん?』
『ああ・・・。いや友達と来たんやけど』
『・・・・・・・・』
『また電話するわ』
『うん』

すぐに別れた。何も言えなかった。



今日のBGM:ヒロシマ・モナムール[アルカトラス]
(この記事は後日に思い出しながら記述したものです。)
(記述日:2005/12/16→訂正日:2005/12/16)

posted by かも at 22:50| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記(過去記事追加分) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

面接へ(住之江編) 12月13日分

日払いの求人をやっと見つけて住江まで行ってきた。
谷町線、中央線、四ツ橋線と乗り継いで、最後にニュートラムでひと駅の平林まで。
運賃で360円、時間にして一時間強。大阪市内とはいえ守口から見るとちょうど対角線方向の一番遠い地域だ。すでに手持ちのお金が6000円をきった今の状況では往復720円の出費はとても痛い。ある意味賭けだ。

しかし面接の結果は賭けに負けたといっていいものだった。

ある程度予想はついていたが、ここもいわゆる単発のバイトがメインの登録制の人材派遣だった。大学生や二十歳前後のまともに働いた経験のない連中を相手に安くたたいて働かせるタイプの会社だ。仕事の内容は冷凍庫内の倉庫作業で、最初の給料から防寒着と安全靴の実費を引かれるとの事。また安全協力費か保険だとかの名目で一日働くごとに毎回差し引くとか、そんなモンあらか時給から引いとけよ。必ず一律にひくならおんなじだろうに、まあ時間外手当てとかには別にしといたほうがいいけど。
しかし、面接の予約を入れる電話で聞いたときは『すぐに働ける』、『毎日仕事がある』といってたのに、結局は登録シートに記入させられて、少々仕事の説明を受けて『一週間以内に連絡します。』でおしまい。限りなく暗い気持ちに。まあ35にもなってこんなところに登録に来てるオレがわるいのか。この時点で『もうダメかな。』よからぬ思いが現実味を帯びてくる。

この時点で私の手に残っているのは5000円ちょいのお金とイングヴェイの大阪公演のチケットだけ。


今日のBGM:悲しい色やね[上田正樹]
(この記事は後日に思い出しながら記述したものです。)
(記述日:2005/12/18→訂正日:2005/12/18)
posted by かも at 21:36| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記(過去記事追加分) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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